○ 戦後文学としての藤田田
http://d.hatena.ne.jp/sujaku/20040320

もちろんおれは、これらのメニューの向こうにひろがる世界にあこがれた。たとえば、ミステリアスに輝く魔法の箱であるオーブンや近未来ドラマから現れたような皿洗い器のあるキッチン、広い芝生の庭にスプリンクラーで水が撒かれ、そこを美しい姿態をしなやかに踊らせてビーグル犬が駆ける。きれいなママはパイを焼き、パパは新聞を読んでいる。子供たちはモノポリーで遊びながら、将来の経済設計を夢見つつ、他方で次の週末のダンスパーティーのことを心配していたりする。絵に描いたようなイメージ? ほんとに、そうだ。それはやはり敗戦国に育った少年のおもいえがく戦勝国の暮らしのイメージなんだろう。(あぁ、たったこれだけのことをうちあけるのに、どれだけの勇気がいっただろう。)

もう最高!