実相寺昭雄著「ウルトラマンの東京」
ちくま文庫 ISBN:4480038043

円谷プロの周辺、新宿、TBSのある赤坂界隈、夢の島。本書は当時ロケしたその地を再訪し、当時を回想するというの体裁を採っている。感傷的になりすぎず、飄々と綴る文章は心地良い。自身の描いた東京風景や怪獣のスケッチ絵は秀逸。添えられたコメント文にはなんとも言えないユーモアがある。
あとがきより引用

ほんとうは、ウルトラの世界が描いた東京の過去を、すべて検証したい、よいう気持ちだったが、膨大な時間と手間がかかるから止した。

ただ「止した」というブッキラボウな言い方が実相寺らしい。ある種の諦念は、上質なユーモアを生むのか。