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○ 西麻布のRainy Day Bookstore & Cafeで「片岡義男×小西康陽 大人の音楽談義 Vol.7」を聴いた
先週の金曜日、雑誌「Coyote」主催のトークショー 「片岡義男×小西康陽 大人の音楽談義 Vol.7」を聴きに行った。今回のテーマは「女性ヴォーカリスト」(参照)。
今回の参加で、片岡義男は義男星から来た義男星人だと確信した。
片岡義男は思索にふける。これは日課だ。しかし机にむかってふけるわけじゃない。散歩がてら思索にふけるのだ。散歩がてらの思索、これぞ義男スタイルだ。
散歩中の義男は、目を皿のようにし、耳をダンボにして商店街や都会の雑踏を逍遥する。彼の眼に商店街の喧騒はどう映るのか。彼の耳に、信号待ちの他愛無いカップルのやりとりはどう聞こえるのか。
義男もイイ大人だから、わきまえていると考えるのは早計だ。彼はイイ大人である前に義男星人なのだ!散歩のときの彼は一切の分別をオフにする。そうして周囲の色、かたち、もようを眺める。交わされることばの意味よりも音楽性に着目する。たとえば中古レコード屋に入る。美空ひばりのLPジャケットのポーズ、その手の位置がどういう意図なのか判らないと思う。わからないから、思わず自分もそのポーズを取ってみる。イイ大人のすることじゃない。彼は宇宙人なのだ。
今回彼が選んだ歌たちはまさに、義男星人の胸に響いた歌だっただろう。ジャネット・クラインの「銀座カンカン娘」をエキゾチックでなく、歌そのものだと力説する義男に、あるいは〆の一曲、ひばりの「港町十三番地」の感想で、演歌の歌い手でなく、むしろクラシックのシンガー的矜持を持った人という見識に、彼の異星人性を垣間みた気がした。
Janet Klein 「銀座カンカン娘」
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