アスペクト発行のPR誌「アスペクト」の五月号を手に入れた。

アスペクト」連載の末永昭二「「垣の外」の文学」が面白い。今回ふれられている川上宗薫「眠たい」が読みたくなった。
今やミステリーは狭義の謎解きものばかりでなく、SF、冒険小説などの周辺ジャンル併呑し、さらに妖怪うんちくまで取り込み縄張りを拡張つづけている。大衆文学の1ジャンルでしかなかったはずがこの隆盛。乱歩が生きていたらなんと言うだろう。
考えようによっては、大衆文学がミステリーと呼ばれるようになったともいえるかもしれない。してみると、「大衆文学」や「大衆小説」というククリは、「純喫茶」や「ノーパン喫茶」同様賞味期限切れの死語ということか。
「「垣の外」の文学」はそんな昭和な大衆文学の作家たちにフォーカスした読物。国道ヒトツ入った路地に豚小屋が立ち並ぶみたな、おおらかなモダンの雑味を今のミステリーはすくえていないと痛感する。
なお「アスペクト」、豊崎由美「落ちた人   芥川賞暗黒文学史」、千野帽子「人生相談  文豪に訊け!」と他の連載もなかなかの布陣。