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○養老孟司の「司馬遼太郎さんの予言」を読む
「文藝春秋」２００７年１月号掲載

無思想こそ日本の思想という養老さんの意見は、たしかにイデオロギー嫌いだった司馬遼の考えに相通じるものがあるなと思った。
日本の無思想を「発見」したのは丸山眞男。ただ、「丸山眞男の時代」で竹内洋が指摘するよう丸山はだから「日本は駄目！」とした。
それに対して、養老さんは「無思想だからよい！」」と言う。日本の無思想への評価が丸山とは逆転している。
繰り返しになるが、司馬遼もまた極端を嫌い、「あいみつ取る」ような中庸を好んだ。
養老さんのバカベストセラー「バカの壁」は、一神教的なものを背景とするもの考え方（西洋哲学や自然科学）が極端に走りやすいことを警鐘したものだったと思う。
今回のエッセー「司馬遼太郎さんの予言」は、多神教的な背景のある地域では、AかBかの二者択一的な思考連鎖よりも、AとBの「真ん中」を採るという考え方が元来あり、そのほうがしっくりくるのではないかと提起しているわけだ。
丸山の指摘した「無思想だから」という駄目だしは、西洋かぶれな一方的ものだっだということだろう。
普遍なんてうそってことか。養老さんを批判するのシンドイなぁ。

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