関川夏央「白樺たちの大正」読み中
(文春文庫 ISBN:4167519119


第二章 女のたちの「大正」、81ページから引用。

目白の女子大を出た今西京子は奈良の造り酒屋の娘で。このとき二十五歳だった。
今西京子は「真に正しい人間らしい生き方をしたい」と四月末に入村したのだが、そのときの様子は、「日向の”新しき村”へ/美しい京子さんが/今日大阪をかしま立ちする」という見出しのもとに大阪朝日に写真入りで報じられたくらい派手なものだった。
仕立ておろしのゆかたが二十枚ほど入った行李とトランク、夜具と大型の姿見という荷物jは、ちょっとした嫁入り道具のようだった。

ある種の少女趣味と大正女の理想主義が合体した感がある。ただ、「新しき村」を構成する要素は、大正女に冷たかったようだ。
同様に入村していた、宮下まち子(フェノモン発散タイプ)は、『湿地の毒キノコ』を追放するなどと綴られた村民総意の「追放状」手渡された。今西京子もまた追放された。
83ページより引用。

「罪状」は「女子大出を鼻にかけて図々しいこと」「歳下の”天才”河田と恋しあっていること」であった。このとき、河田汎徳の株は一挙に下落していたのである。

女の入村は、男どもの理想まい進の妨げになったということか。吉田戦車の「ぷりぷり県」じみている。



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