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○佐々木健一「タイトルの魔力」
(中公新書 ISBN:4121016130)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」って映画があるが、邦題をつけて「カリブの海賊」とした方がいいのではないかと私はひそか
に思っている。うまくいえないが、まったく不自然のように思う。秋田犬や土佐犬がバウバウって吠えるようなもんだ。
犬的ニッポンはワンとなけ!
「タイトルの魔術」は芸術作品タイトルについて考察したエッセー風。商品名との比較から、商品名がそれじたいに意味はなく、商品と商品名が一心同体であるのに対し、作品タイトルは、作品に寄り添いつつ別の空間にあり、タイトルは作品の見え方に方向性を与える役割を担っているという。つまり名前でなく、タイトルは作品に解釈であるということ。
絵画の歴史においてて、タイトルを付ける行為は、実は日の浅いものであるいう検証もスリリング。「当然」が壊れる快感に久々脳がしびれた。
巻末の参考文献リストが、単なるタイトルの羅列でなく、内容紹介と佐々木さんによる見解が示されている。一見地味なようで猛烈刺激的。
さて、くだんの「パイレーツ・オブ・カリビアン」は作品タイトルでなく商品名と思えば、そのままでよいのかもしれない。
タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 | |
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