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○「本屋大賞」は本を殺さないか?

ネットは新聞を殺すのかblog、「参加型に対する疑問:人気ランキングだとニュースが娯楽化してしまうか」より引用。
http://kusanone.exblog.jp/1813853/

また以前にこの問題を取り上げたときには、アクセスランキングに上がることでさらにアクセスが集中する、という指摘をいただいた。確かに単純なアクセスランキングで、ニュースの価値を決めることは問題がありそうだ。

個人的には、アクセスランキングでニュースの重要性を決めればイイという堀江社長の意見には賛成。日本マスメディアのニュースは記者クラブによる”大本営発表”でしかないのだから、ネットで他国のニュースとフラット状態で選ばれてしかるべきだと思うから。俺は、堀江社長はそういう文脈で発話しているのだと思ったのだが。。。ちがうのか。
ただ、ネット上の話題のニュースにアクセスが更に集中する傾向は、ベストセラーの本がアマゾン1位、八重洲で二週連続云々という情報でさらにお化けベストセラー化するという現象に似ているように思う。
心情本屋の立場でものを言えば、これはあまり面白い傾向とは言えない。
読書とは、元来当人と書物との対話であるとするなら、大学のミステリー研究会ヨロシク、みんなが読んでいる話題の本についてあーだこーだと意見を交換する読書スタイルの”大躍進”は気持ち悪い側面がなきにしもあらずだ。
たとえば、「本屋大賞」。これは本の雑誌社が音頭を取っているようだが、その点多少ひっかかる。
本の雑誌」っていうのは、書評の対象に長年ならなかったもの、「文学」や「評論」や「思想書」でないエラくない本たちも「全然面白いんだから、紹介しようぜ!」ってスタンスが痛快であり支持されてきたのだと思う。
本屋大賞」は、本屋さんが投票によって選ぶ、もっとも売りたい本ランキング1位に与えられる栄誉である。
なるほど 、教養主義的でない、面白いから本屋さんが売りたい売りたいと思っているという賞の趣旨は、娯楽としての読書の砦「本の雑誌」の精神に相通ずるものがある。ただ、エンターテイメント系の本の書評がマスメディアやネットであふれるほどメジャー化した今日、更にエンターテイメントに肩入れする必然が果たしてあるだろうか?と思ってしまう。
ま、俺自身がネットを通じて、そうした娯楽万歳意見交換サイコーの読書スタイルに荷担してきた向きもある。が、そうであるがゆえに「本屋大賞」には違和感がある。
大賞に輝いた本たちは確かに売れるだろう。けれど恩田陸なんて、もうほっといても売れる人だ。
それよか、恩田陸を平積みするために、あるは大賞以外の恩田既刊を棚でそろえるために、本屋から消えていくだろう、その本達の行く末の方が心配。というか、本屋ならその矛盾に混乱し、釣り銭を間違えたりするくらいのナイーブさが必要ではないか。
繰り返しになるが、面白いのに無視されている本の声を聴きその代弁をする場、それが「本の雑誌」でなかったか?「本屋大賞」は本当に総得票数で決めて良いのか?
来年はあさのあつこが受賞しないことを望む。