◇クリストファ・プリースト著「奇術師」
(ハヤカワ文庫 /古沢嘉通ISBN:4150203571)読了。

私はかつて本屋であった。あいつには負けたくないとか、あの店の鼻をあかしてやるといった意気込みで日夜働いていた。ま、私も若かった。じぶんの店より早く売れ筋の追加が入荷しているを他店で発見すると、翌日怒鳴り込むくらいの勢いで版元に電話、倍の数を注文したりした。自意識過剰の感は否めない。しかしあの頃の商売敵への敵愾心なくして、いまの私はありえない。

プリーストは元々SF作家。創元SF文庫の「逆転世界」が有名みたい。「奇術師」はSFではなく、幻想小説
かつて世間をあっと言わせた2人の奇術師がいた。ふたりはお互いの力量に敬意を払いつつも、己のプライド故に反目し合う。一方が大技を開発、富と名声を得る。もう片方がそれを指をくわえてみてるはずがなく、その大技のタネについてあれこれと試行錯誤の末、逆転満塁ホームラン的な神業手品を開眼。さらに一方は。。。
人生の全てを晴れ舞台に捧げた2人の奇術師のトンデモ・イリュージョンのその仕掛けとは何か?コロコロコミック的手品対戦に手に汗握る!
メメント」の監督で映画化のハナシがあるらしい。解説は若島正