芥川龍之介の猿蟹合戦
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あたかも蟹は穴の中に、臼は台所の土間(どま)の隅に、蜂は軒先(のきさき)の蜂の巣に、卵は籾殻(もみがら)の箱の中に、太平無事な生涯でも送ったかのように装(よそお)っている。
 しかしそれは偽(いつわり)である。彼等は仇(かたき)を取った後、警官の捕縛(ほばく)するところとなり、ことごとく監獄(かんごく)に投ぜられた。しかも裁判(さいばん)を重ねた結果、主犯(しゅはん)蟹は死刑になり、臼、蜂、卵等の共犯は無期徒刑の宣告を受けたのである。お伽噺(とぎばなし)のみしか知らない読者はこう云う彼等の運命に、怪訝(かいが)の念を持つかも知れない。が、これは事実である。寸毫(すんごう)も疑いのない事実である。

芥川=吉田戦車説!