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○バナナと日本人とトヨタ
ザ大衆食つまみぐい,2005/06/22「「スローフード」や「食育」のまやかし」より引用。
http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2005/06/post_a613.html
最近、日タイFTA交渉がマスコミで話題になっていると思うが、そこにはハッキリと、日本の自動車業界の進出とひきかえに日本の農林水産業が犠牲になっていく構造がみられる。これは、いまに始まったことではない。トヨタ奥田など日本の自動車業界の指導者たちは、自分たちの経営努力や業界努力で成長したような顔をしているが、とんでもない厚顔だ。脳なしオヤジが自分の娘を売るようにして日本の農林水産業をさしだして、成り立ってきたのだ。
「食育」というキーワードにまとわりつくなんとも胡散臭さはどこに由来するのか、悶々としていたが、上に引いたようにエンテツさんがものの見事に喝破されている。
あーそっだったのかぁ。
というわけで、鶴見良行「バナナと日本人」を再読。
フィリピン、ミンダナオ島のバナナプランテーションとその背後の多国籍企業の商売戦略と日本のバナナ流通を観察したレポート。
米国系多国籍企業は以下の3つ。括弧内はそのブランド名と日本の輸入元。
ユナイテッド・ブランズ(チキータ、極東フルーツ)、デルモンテ(デルモンテ、富士フルーツと豊田通商)、キャッスル&クック(ドール、伊藤忠商事)。
これに日本の総合商社住友商事(ブランド名、バナンボ)が加わり、台湾産、エクアドル産および、フィリピンの独立系農園産駆逐し、上記4つのフィルピン産は八十年代当初日本バナナ市場の八割強を占めるまでになったいう。
注目したいのは、デルモンテ社のバナナの日本側の窓口輸入元に富士フルーツという果物商社並んで豊田通商が担っていたという点。
豊田通商はトヨタ系の自動車部品等を扱う専門商社。
http://www.toyotsu.co.jp/index.cfm
なぜ、自動車屋の商社がバナナに手を染めたのか?
鶴見は、そこにトヨタの企業戦略があると勘ぐっている。以下213ページより引用。
トヨタは、日本のフィリピン賠償基金を利用し、新興のシルベリオ財団のデルタ社と組んで、乗用車の販売を伸ばしている。マニラにおけるかれらのエンジン工場は、フォード社も口惜しがらせるほどのものだ。豊田通商のバナナ商売は、それなりに利益をあげているだろうけれど、おそらくそれが本来の目的でなく、各種の家産制財閥で構成されているフィリピン支配層に知己をふやしていく投資活動に思われる。
ややうがった見方をすれば、トヨタのフィリピンにおける企業戦略とは、農作物にとっての魅力的な日本市場を餌に現地財閥と接触しつつ、現地における車を販売網や現地生産環境を整備していったということか。
むろん、バナナの輸入が日本の農業を犠牲にしているとは言えない。けれど、トヨタの海外における販路の拡大に豊田通商の食品部門が果たした貢献は小さくないことは察しがつく。
つまりフィリピンの場合、車の販路拡大のための見返りがたまたま日本バナナ市場だったということ。
そう考えると、トヨタが今後中国へ車の販路を拡大する際、どんな人参を中国側の鼻先にぶら下げるだろうか?
というか、ことはクルマ屋のソロバン帳尻ではなく、日本という国がどのように歩んでいきたいか、歩むべきなのかという根本姿勢の問題のように思う。
輸出産業、トヨタ経団連と真っ向から立ち向かう気構えなしに「食育」云々は出来ない。
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